薬物動態 薬物動態 薬物動態 薬物動態

薬物動態

血中濃度

(1)単回投与時の血清中濃度(健康成人男性:日本人データ)11)
日本人健康成人男性被験者を対象に、本剤(n=65)と先行バイオ医薬品注)(n=65)を40mg単回皮下投与したときの薬物動態の同等性を検証したところ、先行バイオ医薬品注)群に対する本剤群の最高血中濃度(Cmax)及び0時間から最終測定時点(投与後65日時点)までの濃度-時間曲線下面積(AUC0-t)の差(幾何平均値の比)の90%信頼区間は、同等性の判定基準である0.80〜1.25の範囲内で、本剤と先行バイオ医薬品注)は薬物動態学的に同等であることが確認されました。

本剤又は先行バイオ医薬品注)40mg単回皮下投与時の血清中濃度推移 11)
本剤又は先行バイオ医薬品注 1)40mg 単回皮下投与時の血清中濃度推移
本剤又は先行バイオ医薬品注)40mg単回皮下投与時の薬物動態パラメータ(ANCOVA)
(薬物動態解析対象集団)11)
PKパラメータ 本剤
幾何最小二乗平均数
先行バイオ医薬品注)
幾何最小二乗平均
本剤/先行バイオ医薬品注)
(90%CI)a
主要 Cmax(ng/mL) 3900(n=65) 3780(n=65) 1.03(0.99, 1.08)b
AUC0-t(h*ng/mL) 2570000(n=65) 2350000(n=65) 1.09(0.99, 1.21)b
副次 AUC0-∞(h*ng/mL) 2790000(n=56) 2550000(n=58) 1.10(0.98, 1.23)b
AUC0-360h(h*ng/mL) 1130000(n=65) 1110000(n=65) 1.02(0.97, 1.08)b
t1/2(h) 276.45(n=56) 271.28(n=58) 1.02(0.85, 1.22)b

CI=信頼区間、n=被験者数
a 比のCIは、個別のPKパラメータの対数変換値より算出した差のCIから逆変換により求めた。
b 同等性/同質性の判定基準:幾何最小二乗平均の比の90%CIが0.80〜1.25の範囲内

注)米国で承認されたアダリムマブ(遺伝子組換え)製剤

(2)反復投与時の血清中濃度
①第Ⅲ相ランダム化二重盲検比較試験(FKB327-002試験)(外国人データ)13)
メトトレキサート(MTX)で効果不十分な関節リウマチ患者(728例)を対象に、MTX併用下で本剤と先行バイオ医薬品注)40mgを2週に1回24週間反復投与し、722例(本剤群364例、先行バイオ医薬品注)群358例)を本試験の解析対象集団として血清中トラフ濃度を比較したところ、本剤及び先行バイオ医薬品注)の血清中トラフ濃度は、両投与群とも12週目でほぼプラトーに達し、20週から24週において定常状態に達していると考えられました。
血清中トラフ濃度は、試験期間を通じて先行バイオ医薬品注)より本剤でわずかに高値でしたが、定常状態(20週及び24週)における血清中トラフ濃度の幾何最小二乗平均(LSM)の比(比の90%CI)は、1.11(0.97、1.28)であり両群で顕著な差はないものと考えられました。

本剤又は先行バイオ医薬品注)を反復皮下投与したときの血清中トラフ濃度推移(平均値±標準偏差)
(薬物動態解析対象集団)13)
本剤又は先行バイオ医薬品注)を反復皮下投与したときの血清中トラフ濃度推移(平均値±標準偏差)(薬物動態解析対象集団)13)
血清中トラフ濃度の比較(薬物動態解析対象集団)13)
週(日) 幾何LSM(95%CI) 幾何LSMの比(90%CI)
本剤 先行バイオ医薬品注) 本剤/先行バイオ医薬品注)
2週(15日) 2434.6(2321.4-2553.2) 2089.1(1990.9-2192.2) 1.17(1.10-1.23)
4週(29日) 3450.6(3223.2-3694.1) 2932.1(2737.0-3141.1) 1.18(1.08-1.28)
12週(85日) 4316.4(3919.7-4753.2) 3851.5(3493.9-4245.7) 1.12(1.00-1.26)
20週(141日) 4369.8(3892.2-4905.9) 3872.9(3445.8-4352.9) 1.13(0.98-1.30)
24週(169日) 4124.3(3643.7-4668.2) 3761.7(3320.0-4262.1) 1.10(0.95-1.27)
定常状態 4245.3(3774.1-4775.2) 3816.9(3389.5-4298.1) 1.11(0.97-1.28)

単位:ng/mL
CI=信頼区間、LSM=最小二乗平均
:20週及び24週の平均値

注)米国で承認されたアダリムマブ(遺伝子組換え)製剤

②第Ⅲ相ランダム化二重盲検比較試験(FKB327-002試験)及びFKB327-002試験に引続き実施した第Ⅲ相長期継続投与試験(FKB327-003試験)の併合解析(外国人データ)13,14)
関節リウマチ患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験〔FKB327-002試験(以下、002試験)及びFKB327-003試験(以下、003試験)〕において、本剤(F)又は先行バイオ医薬品(RP)注)を1回40mg、2週に1回反復皮下投与した際の630例(F-F-F群208例、F-RP-F群105例、RP-F-F群107例、RP-RP-F群210例)を薬物動態に関する併合解析の対象として、治療群別に血清中トラフ濃度の推移を比較しました。なお、第Ⅲ相臨床試験に登録された患者は、002試験(0週から24週)で本剤又は先行バイオ医薬品注)が投与され、003試験の第Ⅰ期(24週以降54週)では本剤又は先行バイオ医薬品注)の治療継続あるいは治療の切替えに再割り付けされ、003試験の第Ⅱ期(54週以降104週)ではすべての患者で本剤が投与されました。
その結果、002試験から003試験(第Ⅰ期)で本剤又は先行バイオ医薬品注)の治療を1年間(0週〜54週)反復皮下投与継続した患者(F-F-F群及びRP-RP-F群)の血清中トラフ濃度は、両群間で類似していました。また、002試験と003試験で治験薬を切替えた被験者(F-RP-F群及びRP-F-F群)及び003試験の第Ⅰ期から第Ⅱ期で治験薬を切替えた被験者(F-RP-F群又はRP-RP-F群)では、いずれの投与シークエンスにおいても、血清中トラフ濃度推移は概ね一定でした。

・F-F-F群:002試験及び003試験(第Ⅰ期)で本剤が投与された、本剤の治療継続群。003試験(第Ⅱ期)は本剤投与継続。
・F-RP-F群:002試験で本剤投与、003試験(第Ⅰ期)で先行バイオ医薬品注)が投与された、本剤から先行バイオ医薬品への治療切替え群。003試験(第Ⅱ期)は本剤投与に切り替え。
・RP-F-F群:002試験で先行バイオ医薬品注)投与、003試験(第Ⅰ期)で本剤が投与された、先行バイオ医薬品から本剤への治療切り替え群。003試験(第Ⅱ期)は本剤投与継続。
・RP-RP-F群:002試験及び003試験(第Ⅰ期)で先行バイオ医薬品注)が投与された、先行バイオ医薬品の治療継続群。003試験(第Ⅱ期)は本剤投与に切り替え。

本剤又は先行バイオ医薬品注)を反復皮下投与したときの血清中トラフ濃度推移(平均値±標準偏差)
(薬物動態解析対象集団)13,14)
本剤又は先行バイオ医薬品注)を反復皮下投与したときの血清中トラフ濃度推移(平均値±標準偏差)(薬物動態解析対象集団)13,14)

注)米国で承認されたアダリムマブ(遺伝子組換え)製剤

分布

モノクローナル抗体は、主に血液中に分布するため、非臨床試験を含め分布に関する試験は実施しませんでした。

代謝・排泄

アダリムマブは、分子量が大きいため、体内で異化されることにより消失するため、非臨床を含め、代謝試験は実施しませんでした。
腎排泄はモノクローナル抗体の主要な消失経路ではないと考えられるため、非臨床を含め、排泄に関する試験は実施しませんでした。

文献
11)社内資料:健康成人を対象とした第Ⅰ相/臨床薬理試験(FKB327-006試験)
12)社内資料:リウマチ患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験(FKB327-002試験)
13)社内資料:関節リウマチ患者を対象とした第Ⅲ相継続投与試験(FKB327-003試験)