乾癬とはどんな病気? 乾癬とはどんな病気? 乾癬とはどんな病気? 乾癬とはどんな病気?

乾癬とはどんな病気?

皮疹を伴う慢性の炎症性皮フ疾患

皮フには、外部に存在する有害な物質や微生物等の進入を防ぐ機能や体温調節機能があります。

乾癬になると、炎症により皮フが赤くなる紅斑、過剰な新陳代謝により皮フが厚く盛り上がる肥厚、盛り上がった皮フが剥がれ落ちて銀白色のフケのような鱗屑が出てくるといった症状が現れます。程度は人により異なりますが、痒みを伴う場合もあります。

また、関節痛等の 症状を伴う場合もあることが判明しており、最近の研究では、皮フのみに関わる病気ではないと考えられるようになってきています。また、「かんせん」という名前の響きから誤解されやすいのですが、決して他人にうつる病気ではありません。

乾癬の原因は?

免疫の異常の発症が一因

何が原因で乾癬になるのかは、まだ完全には解明されていません。しか し、最近の研究で、体内に入り込んだ異物を見つけて取り除く「免疫」の異常が、その一因であると判明してきています。 具体的には、主に免疫細胞から分泌され、免疫細胞の働きの調整機能を担う「サイトカイン」という体内に存在するタンパク質が複雑に影響しあうことが乾癬の一因であるとされています。

乾癬におけるTNFαとは

「TNFα」というタンパク質は、免疫機能にかかわる物質であり、乾癬の症状に大きく関与しています。

TNFαは、サイトカインの一種で、免疫機能にとって重要な働きをしています。しかし、TNFαの過剰な分泌により、サイトカインのバランスが崩れると病気の原因となります。

乾癬の病変部では、TNFαが大量に分泌され、サイトカインのバランスが崩れ、皮フに慢性的な炎症が引き起こされています。TNFαは、それ自体が炎症を引き起こす(直接作用)だけではなく、他の細胞に働きかけ、炎症を引き起こす別のサイトカインの産生を促す働きを持ちます(間接作用)。

乾癬の症状は?

関節性乾癬(乾癬性関節炎)について

乾癬には、「関節症性乾癬(乾癬性関節炎)」という、皮フの症状のみではなく、関節の痛みや腫れ等を伴う種類のものがあります。関節炎が続いた場合、関節が変形してしまい、日常生活にも影響が出てくる場合があります。海外の乾癬患者の方のうち、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)の方は全体の約3割を占めるとされ1)、日本においても関節症性乾癬(乾癬性関節炎)について詳細な調査が行われています。現在は関節症性乾癬(乾癬性関節炎)と診断されていない方でも、関節や腰、背中等の痛みや腫れ、朝のこわばり等の症状が現れている方は主治医に相談してください。関節症性乾癬(乾癬性関節炎)の治療においては、早期の段階からTNFαの働きを抑制する方法が推奨されています2)

TNFαの増加

TNFαが関節で過剰に分泌されると、慢性的な炎症が引き起こされ、骨に小さな傷がつく「骨びらん」や骨が不自然に増える「骨増殖」といった症状が現れ、関節破壊が進みます。

1)Dubertret L, et al. Br J Dermatol. 2006; 155: 729-736.
2) 日本皮膚科学会乾癬生物学的製剤検討委員会. 日皮会誌. 2019; 129(9): 1845-1864.

関節性乾癬(乾癬性関節炎)の5つの病型( Moll & Wright 分類 )

定型的関節炎型
(ていけいてきかんせつえんがた)

指先から1番目にあるDIP関節付近で 症状が現れるもの

写真提供:
自治医科大学医学部 皮膚科学講座 教授
小宮根真弓 先生

対称性多関節炎型
(たいしょうせいたかんせつえんがた)

左右の手指で同じ関節、複数の関節に症状が現れるもの

非対称性関節炎型
(ひたいしょうせいかんせつえんがた)

症状の現れる関節が少なく、対称性が見られないもの

ムチランス型

関節破壊や関節の変形が進んでいるもの

強直性脊椎炎型
(きょうちょくせいせきついえんがた)

脊椎や骨盤といった仙腸関節付近で症状が現れ、背中や腰に、痛みやこわばり等の症状が現れるもの

乾癬と依存度

TNFαは、皮フの症状以外の様々な乾癬の併存症にも大きく関与しています。近年、乾癬治療においては、皮フの症状の改善のみではなく、関節等に表れる併存症を含めた全身の症状に対処していくことが大切だと考えられています。

1) Nograles KE, et al. Nat Clin Pract Rheumatol. 2009; 5: 83-91.
2) Zhang H, et al. Clin Sci. 2009; 116: 219-230.
3) Nieto-Vazquez I, et al. Arch Physiol Biochem. 2008; 114: 183-194.
4) Khera TK, et al. Prog Retin Eye Res. 2010; 29: 610-621.
5) Clark IA, et al. Pharmacol Ther. 2010; 128: 519-548.
6) Faustman D, et al. Nat Rev Drug Discov. 2010; 9: 482-493.
7) Zylberberg H, et al. J Hepatol. 1999; 30: 185-191.